PROFILE
LINKS
SELECTED ENTRIES
RECENT COMMENTS
RECENT TRACKBACK
CATEGORIES
ARCHIVES

02
--
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
--
>>
<<
--
タグふれんず

トラキチの連載小説!

駄文ながら京都を舞台とした青春恋愛小説を書いています。
是非お読み下さい。
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - |
キャンパスライフ 第18回
ここは円山公園。

「天使がやって来た」岡谷将年は自分にやってきた千載一遇のチャンスを無駄にしたくなかった。
過去に何人もの女性とデートして来たが、今日ほど身が引き締まる思いがするのは記憶にない。
いや、鼻の下が長くなっていない自分を誇らしげに思ったりするのである。
はたして恋の力とは人の人格まで変えてしまうのだろうか・・・

一方のあいくは落胆の色を隠せない。
最近は俊彦の心の上に、自分の心も重ねたいと思っていた矢先だったから。
なんとか、将年の前では胸の内にしまわなければと思いつつも気持ちと態度が逆に出るのである。

「やあ、ひさしぶり。どうしたの?いったい?」将年が問いかける。
「いや、ちょっと将年さんの顔を見たくなったの」あいくは人はみな、重い荷物を背負っていると言い聞かせて答える。
「それは、うれしいね。ちょっとベンチに腰掛けようか?」将年は落ち着けと自分に言い聞かせた。
「私、ずっと将年さんはきっと、私の方を見つめてくれるようになると信じていたの。美穂や雪絵には悪いんだけど」
将年はあいくのその言葉を聞き汗が噴出しそうになる。
普段の自分自身の身勝手さを忘れて、“女って怖い生き物だ”と心の中で叫ぶ。
でも惚れた弱みというものであろう。決して気を悪くしているわけではない。

「ちょ、ちょっと清水寺の方まで一緒に歩いてもらえませんか?」
京都定番のデートコースを誘ってみるのだが、天使の前では緊張感を隠せずにいられない。
「喜んで!」とあいくが将年と大胆にも腕を組み歩き始める。
その後、八坂神社を経て三年坂、五年坂から清水寺へと進むのであるが、普段は女性慣れしている将年が一転して赤子のように見えるのは滑稽そのもの。
その後清水の舞台に立って将年は自分自身に言い聞かせた。
「この人を大切にしなくっちゃ」

あいくは少し後悔し始めていた。今頃俊彦は何をしているのだろう。
ちょっとあさはかだったかな。でも後悔先に立たずである。

嫌な予感とは的中するもので、俊彦はその時、南沙也加に電話していた。
「もしもし、沙也加ちゃん?」続く
| キャンパスライフ(第16回〜20回) | 11:15 | comments(0) | trackbacks(7) |
キャンパスライフ 第17回
兼田俊彦は京都府立植物園のベンチで最愛の人であるはずの宮崎あいくと2人で人生を語り合っていた。
さすがに勘のいいあいくはいつもと違う俊彦の態度及び言動に違和感を感じずにいられない。

「今日の俊彦さんって少し変だわ」と遠慮なくあいくが語る。
「いや、そんなことないよ」俊彦が交わそうとすると
「いつも俊彦さんって、私の目を見て話してくれるのに今日は視線をそらして話しているわ。何かあったの?」
あいかわらずあいくの観察力は鋭い。
「別に何もないよ」と俊彦がよそよそしく答える。

実は先週、大阪の実家に帰った際に友だちとボーリングに行ったのであるが、その時に初対面の素敵な女性が来ていたのである。
名前は南沙也加でS女子大在学中。髪は少しショートでどちらかと言えばボーイッシュなのであるが、何事にも真剣かつ前向きに取り組むタイプ。
内面に女性の可愛らしさが滲み出ていて強く魅かれてしまったのである。
あいくを前にしても彼女のことを考えずにいられない自分を少し情けなく思いつつも、人間って気が多くて当然なんだと慰めつつもある状態。

一方、あいくは自分自身をないがしろにされた気分で凄く不快だった。
まさか、俊彦さんがこんな態度に変わるとは・・・
彼は永遠に私の方を見続けてくれるはずだと思っていたのに。
“あなたってひとりの女性に対して自分の誠意を貫きとおすべきタイプの人よ”
言葉を発さずに胸の中に仕舞いこむ。

「私、帰るわ」
突然、あいくがベンチを立って駆け出した。
しばらくして、あいくは携帯のフリップを開けメールを打つ。
“今から会いたいのだけど、ご都合どうですか?”

雪絵と別れて30分、将年は突然あいくから来たメールを読みひとりごちた。
「天使が俺に微笑んでくれている」っと。

男と女、果たしてどちらが弱いのだろうか・・・第18回に続く
| キャンパスライフ(第16回〜20回) | 12:53 | comments(0) | trackbacks(54) |
キャンパスライフ 第16回
一夜明けて三条京阪のカフェで将年と雪絵は向かい合っていた。
2日前のムードとは打って変わって陰鬱な雰囲気が漂っている。

自分自身の不甲斐なさとやるせなさを感じながらも、将年は自分の気持ちに逆らうことが出来なかった。
「雪絵ちゃん、俺達って愛し合えば愛し合うほど明日が見えなくなるような気がするんだ」いつにもまして言葉がキザである。
「それどういうこと?私、このあいだ生まれてきてよかったというしあわせを感じたのよ。ひょっとしてあなたの刹那的な生き方につきあわされたの?それってひどくない?」
将年は耐えるしかなかった。
「ゴメン、俺のこと忘れてくれないかな」心を鬼にして将年は答える。
「私って一夜限りのソープランド嬢だったの?私美穂よりも何倍も傷ついているのよ」
「・・・・・」
今、この場を切り抜けたらきっと俺にも幸せがやってくるのだ。
「何か答えなさいよ!」
雪絵の頬に涙が伝い始める。
「元気でな」
将年は持っていたハンカチを差し出し最後の言葉をかけて店を出た。

人間は後悔してもなかなか改心できない生き物なのであろう。
あいくには自分を変えてくれる要素がある。
彼女は今まで知り合った女の子とは一線を画するタイプの女性だ。
可愛いというより個性的なタイプ。
将年はあいくが今、何をしているのか気になって仕方がない。

幸か不幸か、将年に天使のように思われているあいくはその頃、兼田俊彦と久々に植物園で会っていたのである・・・第17回に続く
| キャンパスライフ(第16回〜20回) | 22:01 | comments(0) | trackbacks(0) |
キャンパスライフ 第15回
雪絵は美穂に攻められて熱くなっていた。
なぜなら彼女には将年との昨晩の余韻がまだ残っているからだ。
「美穂に将年さんの何がわかるの?あの人は私に毛布をかけてくれるように優しいわ」
「あなた、心も体もひとつになったように気でいるけど大間違いよ。あの人はあなたに会う前に私とデートしていたのよ。私はあなたみたいに軽い女じゃないからその鬱憤を晴らす為に、あなたのところに泊まったのよきっと!」
「あなたよくそんな言葉真顔で言えるわね、そんなデマよく作れたものだわ」
「デマだと思うのなら本人に聞いてみなさいよ」

2人の会話はますますヒートアップ状態。
「わかったわ。聞いてみるわ」
雪絵が携帯のフリップを開けた瞬間、メール受信。
送信元は直斗からだった。
彼は純粋なんだけどどこか現実離れしてるのが玉に瑕である。
“雪絵ちゃん、いろいろ悩みあると思うけど将年のこと信じてあげてくださいね”

雪絵は“落ち着け”、と自分に言い聞かせながら将年にコールする。
「もしもし、岡谷です」
「もしもし、将年君。今、何してるの」
「うん、ちょっと本屋に寄ってて立ち読みしてたところ。これから帰るよ」
「家の用事あるって言ってなかった?」
「ちょっとだけ時間が空いたんで」
将年は思わず汗が噴出しそうになる。
まさか、あいくの好きな作家の本をどうしても見たくて本屋に立ち寄ったとは言えまい。

「今、美穂と一緒にいるんだけど」
将年は一瞬心臓が止まりそうになるが、持ち前の切り替えの良さで
「美穂ちゃんって、コンパで一緒だった美穂ちゃん?」
「そうよ、その美穂が昨日私と会う前にデートしていたと言うのよ。まさかそんなことはないよね?」
「・・・・・」
「どうしたの、しゃべりなさいよ。私、あなたのこと唯一無二の存在だと思っているの。信じていいのよね」
雪絵はまさにすがる思いだ。
「雪絵ちゃん、明日会えるかな?」
「何、今話せないの?」
「明日、きちんと話すから・・・」
「わかったわ。時間と場所、またメールしてね」と雪枝は涙声で電話を切る。

雪絵の電話の応対の様子を見て、美穂は急激に自分の将年に対する気持ちが冷めて行くのを強く感じていた。
今、目の前に私より傷ついた親友がいる。
彼女に比べたら私なんか軽傷の部類だわ。
このあと、美穂は雪絵になぐさめの会話を続けるのであった。

その頃、将年は強く自分に言い聞かせていた。
“裏切ったんじゃない、心が変わったのだ”と

彼の頭の中にはもはやあいくのことしかないのであった・・・
第16回に続く

ブログランキング
| キャンパスライフ(第11回〜15回) | 15:52 | comments(4) | trackbacks(0) |
キャンパスライフ 第14回
坂上美穂が“MERCI”に着く15分ぐらい前に宮崎あいくから電話があった。

日頃冷静沈着なあいくがいきなり、「美穂、もう雪絵と会ってんの?」と余裕のない声を響かせる。
「いや、まだ学校よ。4講目終わったばっかりなの。これから向かうわ。それより将年君と話せた?」
「うん、話せたよ。でもね、美穂、ちょっと私のこれから言うことよく聞いてね」
「何なの、いったい?」と美穂は驚きを隠せない。
「えっと、雪絵にはあとで私の方から事情は説明するからね。とにかく昨日の美穂と将年さんとの植物園での件は雪絵に黙っておいてほしいの、絶対に」
「どうして?私、そのことこれから会って雪絵に話そうと思っているよ」
「うん、美穂の気持ちは本当によくわかるんだけど、雪絵にだけは言っちゃいけない、あなたたち友だちでしょう」
「友だちだから話すんじゃない?そう言えば、将年君の件であいくに相談に乗ってもらってもういいのってメール打ったら、逆にすぐに雪絵の方から相談事があるって返事来たの」
「今、ここで話せば長くなる。私、昨日の朝、美穂に石橋を叩いて渡る人生って面白くないよねって送り出したけど、手のひら返すようだけどここは石橋を叩いて渡って欲しいの。お願いだから」
「それはあいく、雪絵も将年さんのことお気に入りだってこと?でもそんなことよくあることじゃない、ふたりで話し合うわ」
「恋愛小説と恋愛は別物よ、美穂。わかってるの?恋愛小説は辛いことがあったとしても読者は共感できるけど決して傷つかないわよね。でも現実は違うわ」
「そんな抽象的なこと言われてもわからない。雪絵と話し合うわ、ごめんね」と言って美穂は電話を切った。


そして中森雪絵と坂上美穂は“MERCI”で向かい合っている。

美穂は少し前まで考えていた。
どうしよう。どうしよう。
期待の絶頂から不安のどん底に沈む。
雪絵もきっと将年さんが好きなんだ。
女の直感は鋭い。
正直、雪絵には色っぽさではかなわない。

「昨晩はごめんね。帰り遅くなっちゃったの」とまず雪絵が切り出す。
「いいえ、こちらこそ。その相談ももうあいくに乗ってもらったんだ。雪絵の相談って何なの?」と美穂。
「実は・・・昨晩男の子が泊まりに来たの」雪絵は晩に将年がマンションに来られないのが引きずっていて話さずにいられない。
「へぇー、それは凄いね。彼氏出来ちゃったんだ。私の知ってる人なの?」美穂は汗が噴出しそうになる、でも心の中では将年のはずじゃないと信じている、いや信じていたい。
「うん」
「誰なの?知りたいわ」
「その前に、昨晩の美穂の相談事って教えてくれる?メールには岡谷君って書いてあったけど・・・」
「うん、たいしたことないの。岡谷君って彼女いそうかな?って言う相談だったの」
「それにしては思いつめてたようだったけど?」雪絵は少し胸をなでおろす。
ちょうど、その時雪絵の携帯が鳴った。
「ごめんなさい、ちょっと出るわね」と言い通話する。

「もしもし、中森ですが」
「もしもし、中村拓弥です。このあいだのコンパでごいっしょした。直斗から電話番号を聞き電話させてもらってます」雪絵は少しだけだが胸が高鳴った。
「ああ、中村さん。このあいだは楽しかったですね」
「実は、このあいだのメンバーでボーリング大会しようということで電話させてもらってます。雪絵さんどうですか?」
「ボーリング、いいですよ。下手ですけどね」
「いや、女の子は下手な方がいいですよ。それじゃ、俺と雪絵ちゃんとで幹事ってことで良いかな?将年にも了解を得ているしね」
一瞬、将年の名前が出てびっくりしたが「うん、いいですよ」
「ありがとうね。そしたら、2〜3日後にまた電話するからその日までに女の子の都合のいい日、聞いておいてくれるかな?」
「わかりました」
「それじゃあね、また」
「それじゃあ」と雪絵は頬を赤らめて電話を切った。

「ゴメンね」と雪絵が言うと
「なんだ彼氏って中村さんだったの。あの人カッコいいからね」美穂はほっとした様子を隠せない。
ところが、「いや、違うの・・・実は」
「実は誰?」
「泊まったのは将年さんなの!」と雪絵がハッキリと言う。
それを聞いた普段おとなしい美穂が急変した。
「雪絵って欲望に流されて生き過ぎているわ。あなたの恋愛って安っぽい歌謡曲を追いかけるような恋愛だわ!」

その頃、本間直斗は雪絵宛に心を込めたメールを打っていた・・・第15回に続く


ブログランキング









| キャンパスライフ(第11回〜15回) | 21:39 | comments(1) | trackbacks(0) |
キャンパスライフ 第13回
京阪三条駅に着いた。
岡谷将年は気分転換にボーリングの件もあったので“恋の師匠”こと中村拓弥に電話をした。

拓弥は週に2回ぐらいしか学校に来ない。
名古屋出身の拓弥は根っからの中日ファンで、野球の話となれば阪神ファンの将年と喧嘩になりそうであるが、今年から星野前中日監督が阪神の新監督に就任したので阪神の試合も気になるらしい。

たまたま四条河原町のあたりを徘徊しているとのこと。デート中じゃなかったらまたナンパかな。
いずれにしても、グッドタイミングということで、30分ぐらい話を聞いてもらうことにする。

河原町通りのマック内。
まず、簡単にボーリングの件を切り出しOKをもらう。
これであとは直斗だ。

将年はすがる想いで拓弥に昨日からのことを語った。

拓弥は本当に割り切っている。
「俺達まだ、20歳前だぜ。そんな今つき合っている女の子と結婚するわけでもないし、深く考えなくっていいさ。男は遊んだ女の数だけ出世すると言って過言じゃないよ。
雪絵って言う子も合意の上で寝たのだったら何の問題もないさ。おまえ、もしかしたら責任を感じてるのか?大体、女の子って不思議なものでその時は死ぬとか言ってわめいたりするけど、次にいい男が出来たら昔の男に見向きもしないものさ。だから気にすることはないって。
ただ、あいくさんが言ってるように友だちを行くのはまずいな。今頃、友だち同志、修羅場じゃないか」と将年をおどす。

拓弥にそう言われたら、将年もそんなに悪いことをしているようにも思えないのが不思議だ。
きっとこいつは本当に要領がいいのだろう。いや、何年か後に刺されたりして。
「拓弥、俺、いったいどうしたらいいのかな?」
「お前、そんな深刻な顔するなって。意外と純情なんだな。そうだな、ふたりに接点がなければ、ばれない様にやれという選択もあるんだけど、今回に限りそれは除外。自分の首を締めるだけだ。
方法はふたつかな。ひとつめは簡単だ。ふたりから手を引く。もし、相手がどう言ってきても会わないでおくことだ。
そのうち、俺がいい子を紹介してやるさ。
あと、どうしてもお前が片方を好きな場合なんだが、まず、美穂ちゃんだけはやめておいたほうがいい。少なくとも雪絵ちゃんが遊びでお前と寝たのなら別だが本気なら余計にドロドロになるだけだわ。
逆に雪絵ちゃんをどうしてもっていう場合は、正直に美穂ちゃんに話すことだな。美穂ちゃんも直斗に会いに行く予定だったんだろう。きっとショックでも許してくれるさ。でも案外、お前にはあいくさんが合ってるのかも知れないぜ、5年後だったら俺、お前にあいくさんオススメするわ」

「自分でもわからないのさ、誰が好きなのか」と将年は本心を語る。
「確かにそんな感じだな。ふたりから惚れられてのぼせ上って冷静に考えられないようになっているのさ。
さっき、あいくさんのことを言ったけど、お前の場合って追いかけている方がいいタイプだと思うんだ。難攻不落な女の方が落としがいがあるのさ。だから俺の勘では、美穂ちゃんも雪絵ちゃんもたとえ上手く行ったとしても結局物足りなくなるような気がするぜ、今はわからないと思うけど」
「そんなものかな」
「もちろん、個人個人好きなタイプってあるから一概には言えないけどね。でも正直言えば、ふたりを比べると雪絵ちゃんより美穂ちゃんの方がおまえに合うような気がするんだ。でもさっき言ったように、その選択肢は数ヶ月・数年後には皆を不幸にする可能性がある。必ず友情に亀裂が入る。なぜなら、遊びで寝たんじゃないんだろう、少なくとも」
「そうだ、遊びじゃなかったつもりだ」と将年は無責任に答える。
「何回も言うけど、美穂ちゃんだけはやめておけよ。いっそのこと女の子同志で、昨日からのことをすべて話し合っていたらきっぱりするのかもな。どちらにも嫌になられて。ははっ」
将年はドキッとする。そうなっていても、残念に思う自分がいるのが否定できない。俺ってずるいのかな。
「笑い事じゃないんだ」と返すと、追い討ちをかけるように次の言葉が返ってきた。
「雪絵ちゃんと美穂ちゃんの前で、僕はあいくさんが好きですと言ってやったら。お前の顔に3人の中で“あいくさんを1番抱きたい”ですと書いてあるぜ」と言い立ち上がる。
将年は顔を紅潮させ無言のまま立ち上がった。
拓弥はリラックスさせようとして言った言葉が、逆効果だったかなと少し後悔した。

拓弥と別れ、車をやっとモータープールから出す。
運転する前に、雪絵にメールを打つ。
“将年だけど、ゴメン。今日はちょっと家の用事があって寄れないわ。また連絡するね”

本当に恋は魔法のようだ。
運転しながらあいくの言っていたことを思い起こす。
「私の知り合いにE大の人がいるのだけど、岡谷さんみたいに手当たり次第に女の子にアタックしていないわよ。ひとりに照準を定めたらとことん突き進んでくるの。
女の子ってそんな人の方が気持ち通じるものなのね・・・」

あいくはお茶を濁していたがきっと女の子って自分のことだ。
そう思えば、将年はE大の男に嫉妬している自分を認めずにいられなくなり、本屋に寄ってあいくが言っていた重松清の本を探そうと決心する。

その頃、雪絵と美穂は“MERCI”で話し合っていた・・・第14回に続く


ブログランキング

| キャンパスライフ(第11回〜15回) | 04:25 | comments(2) | trackbacks(0) |
キャンパスライフ 第12回
京阪七条駅近くの“プランタン”という名のカフェ。

はじめに山田さくらから頼まれていたボーリングの件を将年に話し了解を得る。

「それはそうと、あなた美穂と雪絵といったいどちらが好きなの?」いきなり宮崎あいくが切り出す。
「いや、雪絵とは別に・・・」岡谷将年はあいくが雪絵との関係をどの程度知っているのかわからないので曖昧に答える。

「美穂の保護者めいていて悪いんだけど、植物園での話はうかがいました。男の人にはよくありがちなことよね。その件に関してはあなたを責めたりしないわ。でもそのあとが問題よね。私、ジュンク堂書店付近をあなたと雪絵が歩いていたところを目撃したわ。
まるで恋人同志のように歩いていたじゃない。なぜ、知り合い同志である女の子に手当たり次第手を出すわけ。あなた自身はそれで満足なのかもしれないけど、結局は女の子の気持ちをもてあそんでるようにしか私には見受けれないのだけど」
将年は一瞬たじろぐが、“かに道楽”に行く前の2人を見られたのだと少し安心する。
問題は、雪絵に昨晩のことを詳細に聞いていないだろうなという疑念。
あと、美穂とのことを雪絵にしゃべられてもかなり困った事態となる。

黙っていると、あいくがたたみかけてくる。
「私の知り合いにE大の人がいるのだけど、岡谷さんみたいに手当たり次第に女の子にアタックしていないわよ。ひとりに照準を定めたらとことん突き進んでくるの。
女の子ってそんな人の方が気持ち通じるものなのね。あなたのやっているのは所詮恋愛ゲームにすぎないわ。私はずるい男の人が許せないから敢えて言うけど、ばれなければいいというもんじゃない。
でもあなたはばれるとわかっていて敢えて泥沼に足を突っ込んでいる。最悪なの。だからせめて、今の段階で少なくとも気持ちの整理をしてよね」

将年はズバズバと物怖じせずに言ってくるあいくに圧倒されていた。
彼女の言っていることは確かに間違ってはいない。
ここは下手に出るしかないなと意を決する。

「宮崎さん、わかりました。おっしゃるとおりです。とりあえず、美穂ちゃんにはしばらく会えませんと言っておいてください。雪絵ちゃんとはたまたまバッタリ会っただけなんです。ただ、ご飯を食べにいったのは事実なので、出来れば美穂ちゃんとのことは言わないで欲しいな」
「本当にご飯に行っただけなのね?」
「そうですよ、どうかしたんですか?」
「実は、いつも出席している専門科目に欠席したの。あなた何も知りませんよね?」
「もちろんです、雪絵ちゃんは彼氏いないのかな?」
「あなたそんなことも知らないの?」
「はい」
「信用していいのね、あなたのこと」
「もちろんです」
「わかりました、そうしたら美穂には気持ちが落ち着くまで会えないと言っていたと伝えます。雪絵にも昨日のことは私の方からは何も言わないでおくわ」
「お願いします」将年は安堵の胸をなでおろした。

が、次の言葉に心臓が止まりそうになる。
「でも、あのふたりかなり仲がいいからね。なんでもつうつうかもしれないわよ。たとえば小説なんかも好きな作家が一致してるの。秋に山本文緒さんの“群青の夜の羽毛布”が本上まなみさんと玉木宏さんの主演で映画化されるんで楽しみだよねってこのあいだも言っていたわ」
「僕も恋愛小説読むんですよ。江国香織さんと辻仁成さんが好きですね。去年、受験勉強のあいまに“冷静と情熱のあいだ”の映画観てきました。ケリー・チャンさん素敵ですよね」
「そうよね、私は知り合いの影響で家族小説にはまっているの。山本文緒さんと直木賞を去年同時受賞した重松清さんの『流星ワゴン』という作品、このあいだ読み終えたんだけど最高だったわ。将年さん知ってる、重松清さん?」
「知りませんね。僕はあと桐野夏生さんが好きです」
「なるほど・・・では今日は将年さんがお聞きした以上に良心の痛むことをしていないということを信じるわ」
「ありがとう」
「最後に言っておくけど、心が変わるのは仕方ないと思うの。でも最初から裏切るのは最低よ」
「わかってます」

割り勘で勘定を済まし、カフェを出てあいくと別れる。
将年にとっては裁判所を出たかの如くである。

「それじゃ、次はボーリング場でね」
「それじゃ」

雨は上がった。でも将年の心の中はどしゃ降りだ。

駅で電車を待っているとメールが入る。雪絵からだ。
“雪絵で〜す。学校、行ってるのかな?私、これから4講目なの。6時半ごろ帰るので出来たら帰り寄って欲しいな。返事待ってま〜す。”

昨晩雪絵に言った言葉を忘れていた。
「雪絵ちゃん、俺とつき合ってくれへん」

正直にあいくに言うべきだったのか?
将年は良心の呵責に苦しむのであった・・・第13回に続く


ブログランキング




| キャンパスライフ(第11回〜15回) | 04:44 | comments(2) | trackbacks(0) |
キャンパスライフ 第11回
宮崎あいくは岡谷将年との待ち合わせのために京阪七条駅に向かっていた。

最近、E大の兼田俊彦からの電話が毎日のようにかかってくる。
演劇や本の話題に始まって、最後はお決まりのセリフを発する。
「あいくちゃんのマンションに行っていいかな?」
いつもお決まりのセリフで返す。
「つき合ってもないのだから、困ります」
でも俊彦はひるまない。

実家の姉がよく言っていた。
「男って根本的に釣った魚に餌をやらない動物だから」って・・・
もし、私が俊彦に心を許した場合、彼はもっと大事にしてくれるであろうか?
それとも態度が豹変するのであろうか?
女としてその見極めは重要なのである。

ふと、これから会う将年と俊彦を比べてみた。
どちらもタイプが違うが“どちらも非常に単純”な気がするのだが・・・

少し頭のなかを整理する。

まず、自分自身が昨晩見かけたジュンク堂近くで雪絵と一緒に歩いていた件。
これはとっても気になる。
一瞬、雪絵に直接電話して聞こうかなと迷ったけど、雪絵も美穂もふたりとも傷つけることになるかもしれないと判断した。

将年さんって、女の子の“いったん思い込んだら、どうしてもとどめることができない”気持ちってわかってるのかしら。
多分、雪絵も美穂もそういう気持ちになっているのだ。
いろんな意味で将年さんを問い詰めなければならない。
覚悟を決める。

あと、“MERCI”にあとからやって来た山田さくらと大林加代からの頼み。
この前のコンパのメンバーでボウリング大会を実施してほしいとのことである。
はは〜ん、誰かお気に入りがいるのだとすぐに勘付いて問うたところ、さくら→拓弥、加代→直斗らしい。
これはバッティングしていないのでいいかなと安堵のため息をついた。


中森雪絵は3講目の一般教養の授業を受けていた。

雪絵は昨晩のことを、たぶん一生忘れることはできないだろう。
運命的な出会いってあったのだ。
きっと神様の粋な計らいなのだろう。
直斗さんも私を応援してくれているみたいだし・・・

その時、携帯にメールが入る。
美穂からだ、そう言えば昨晩相談したいことがあるって言ってたわ。
“雪絵ちゃん、昨晩はごめんね。相談の内容は、実はコンパに参加してた岡谷将年君のことだったの。でもあいくに相談したからもういいの。どうもありがとうね。”
雪絵は携帯の画面に出ている“岡谷将年”の文字を凝視した。
ドキッ、ドキッ、ドキッ・・・心臓の鼓動の音が聞こえる。
何かの間違いであって欲しい。
すぐに、美穂宛に返信した。
“美穂ちゃん、私の方も相談があるんだ。よかったら4講目終わったら“MERCI”に行かない?”

雪絵は山本文緒の『恋愛中毒』という作品の冒頭を思い出した。
“恋は人を壊す・・・”

ちょうどその頃、岡谷将年と宮崎あいくは京阪七条駅の近くの“プランタン”というカフェで向かい合っていた・・・第12回に続く


ブログランキング

| キャンパスライフ(第11回〜15回) | 00:53 | comments(0) | trackbacks(0) |
キャンパスライフ 第10回
坂上美穂は宮崎あいくから、将年と話し合うアポが取れたと聞き心が軽くなった。
すると、急に将年がいとおしくなり、そういえばキスを迫られる少し前にアドレス交換をしたことを思い出した。
そこで将年をリラックスさせようとして勇気を振り絞ってメールを打つこととする。

“昨日は急に帰ってしまってごめんなさい。
将年さんにわかってもらいたいことがあります。
気持ち的には、決して拒否したわけじゃないんです。
少し取り乱しましたが、あんな経験がなかったものですから。
あいくから連絡が行くかもしれません。
また、会えることを楽しみにしております。”

直斗に将年から最初にメールが来てから2度目のメールが来たのが約30分後、時計は12時半を少し回っていた。
“ゴメン、本当に急用が出来ちゃった。今日は学校に行けないわ。明日でもいいかな。返事待ってる。”

直斗は雪絵と将年のことを昨夜一晩中考えていた。
考えたあげく、次のように結論を出した。

最初は、“どういうつもりなんだ”と将年に聞くつもりだった。
どんな事情があれ、雪絵は自分に会いに来ずに将年とデートしていた。
それはとっても残念だ。
でも連絡も寄こさずに、将年と楽しそうに歩いている姿を見る限り自分に脈はないと思う。
現にとっても楽しそうだった。
もし、将年じゃなくって見知らぬ男だったら“当たって砕けろ”の精神でアタックしていたであろう。
だが、自分は友情を壊したくない。

だから将年に雪絵を託すつもりだ。

ただ、二股をかけるのは許せない。
そこで将年が前のコンパで知り合ってつき合っていた、H女学院の小百合との現在の関係を確認したかった。
本人は別れたとコンパの席で言っていたが、もういちどきちんと自分の耳で・・・

直斗は少し何かがおかしいと感じた。
普段の将年ならメールじゃなくって、電話をかけてくるはずだ。
何か俺に対して直接話しづらいことがあるのだろうか?

ひょっとしたら雪絵が昨晩の直斗との約束の件をしゃべったのかもしれないな。
河原町三条の交差点で、確かに自分と雪絵とは目が合った。
雪絵にしたら、直斗にまさか口止めしてもらうわけにもいかないし、直斗から将年にしゃべられる前に自分でしゃべった方がいいと考えたのかもしれない。

それで将年も気を使っているのかもしれないな。
もし、しゃべってなかったらしゃべらない方がいいよと雪絵にアドバイスしてあげた方がいい。

直斗は“善は急げ”の精神で雪絵に電話した。
「もしもし、本間直斗だけど、雪絵ちゃん?」
「そ、そうです、昨日は本当にごめんなさい」雪絵は動揺を隠せない。
「いや、いいんだ。ひとつ聞きたいいとがあったんで電話したんだ」
「なんですか?」雪絵は少し構える。
「昨日、俺と約束してたこと将年に話したの?」
「はい、しゃべっちゃいました」
「そうなんだ、仕方ないな。それじゃ俺とのこと気にせずに将年と上手くやって欲しいんだ」
「あ、ありがとう」
「それじゃあまたね」
「それじゃ」

雪絵はホッとしてまるで映画のヒロインみたいな気分、一方の直斗は電話を終え大きく深呼吸した。
現段階で2人とも美穂と将年とのいきさつは何も知らない。

岡谷将年はあいくと待ち合わせの京阪七条駅へ向かうために京阪三条駅より京阪電車に乗り込んだ。
確かにあいくは“美穂と雪絵のことで話がある”と言っていた。
ひょっとしてあいくは何かを感づいているのかもしれない。
将年は構えずにいられない。

もし、雪絵が昨日の美穂との植物園を知ったらショックだろうし、逆に美穂が雪絵との昨晩以降のことを知ったらもっとショックかもしれない。

四条駅を通過したあたりで美穂からメールが来た。
最後の一文に心が揺れる。
“また、会えることを楽しみにしております。”

先ほどまで「なんとか雪絵ちゃんを守ってあげなくっちゃ」と熱く思っていた自分が嘘のようだ。
今、ふたりの岡谷将年がいる。
“本当にどちらが好きなんだろう?はっきりしなくっちゃ!”と思う表の顔の自分。
“雪絵と美穂がお互い接点がなければ良いと少なからず思う”もうひとりの自分。

ただ、どちらが自分のことを長く愛してくれそうかと言えば、美穂のような気がしないでもない。

俺はジキルとハイドなのかな?
あいくに会いに行くのがまるで戦場に行くかのような錯覚に陥る。

「男心と梅雨の空か・・・」、将年は自分の優柔不断さを言葉でごまかした・・・第11回に続く


ブログランキング

| キャンパスライフ(第6回〜10回) | 02:43 | comments(2) | trackbacks(0) |
キャンパスライフ 第9回
6月26日、午前10時半、場所はK女子大キャンパス内。
1講目が終わって宮崎あいくと坂上美穂は一緒にキャンパスを出て近くのいきつけの“MERCI”というカフェに入った。
2講目が一般教養科目なので出席をパスしたのだ。

今日の京都は雨模様。
まるで目が腫れている美穂の心の中を表しているかのようだ。

窓際の席にすわり、お互いが大好きなエスプレッソを注文する。

あいくと美穂それぞれの理由で雪絵が1講目を欠席したことを気にしている。
あいくは将年とのツーショットを見かけたから。
美穂は雪絵に相談しようとしてマンションにまで押しかけたが遅くなると断られたから。

「今日は雪絵ちゃん、どうしたんだろう?」美穂が尋ねる。
「本当に珍しいわね」
「私、本の趣味とか合うんで将年君の件、雪絵ちゃんにも相談しようと思ってるのだけど」
「いや、雪絵ちゃんには言わない方がいいんじゃないかな」とあいくが答える。
「どうして?」と美穂が問い返すと
「それより美穂は、将年君のことまだ好きなわけ?」という言葉が返ってきた。
「うん」と美穂はためらいつつも答える。
「そうしたら、私にまかせてくれるかな。うまくあいだに入ってあげる。将年君の携帯番号教えてちょうだい」
美穂にとって、まるで演劇のセリフを発するかのごとくしゃべるあいくが保護者のように頼もしく感じる。
「お願いね」と答えて将年の番号をメールであいく宛に送る。
そのとき、コンパ仲間の山田さくらと大林加代が“MERCI”に入って来た。

その1時間位前、烏丸御池の雪絵のマンション。
突然泣き崩れて「実は・・・」と昨晩の直斗との真相を雪絵から聞かされた将年は、昨晩以上にに雪絵が可愛く感じて再び抱きしめたのである。

一般的に、男は女性の涙に弱い。
それが若くて可愛い女性であればあるほど・・・
将年とて例外でない。
彼は純粋とは言えないかもしれないが、女性では理解できないほどの“単純”な男であるからだ。

11時半すぎ、雪絵のマンションを仲睦まじく出、地下鉄御池駅で別れる。
右京区にある大学に行こうと思ってバスに乗ろうと思った矢先、昨晩四条河原町に車をパーキングに入れてそのままにしてあったことに気づく。
「しまった!」と後の祭り的にひとりごちる。
ダッシュで御池駅東西線ホームにたどり着き、雪絵の姿を確かめたが前の電車に乗ったみたいだ。
5分弱待って次の電車に乗りこみ西へ2駅、三条京阪で降りる。

あいにく雨模様だ。
深呼吸して今の気持ちを整理してみた。
「なんとか雪絵ちゃんを守ってあげなくっちゃ」
このひと言に尽きる。
今の将年にとって直斗に会いに行った途中で自分とバッタリ会い、その後を共にした雪絵の行動を粋に感じていた。
それよりやっかいなのは、2人が手をつないで歩いていたことを直斗に目撃されたであろうことである。
さらに、雪絵のマンションで一夜を共にしたと知れば直斗はどう思うだろうか。

「とりあえず直斗に会おうか」ということで直斗宛にメールを打つ。
“岡谷だけど、返事遅れてゴメン。ちょっと家の用事で朝からバタバタしちゃって。1時過ぎに学校に着いて3講目出る予定。それが終われば時間あるので相談に乗るよ”

メールを打った直後、携帯に着信が入る。
知らない発信者番号が画面に出る。
一瞬ためらったが思い切って出ることにする。
「もしもし岡谷さんですか?」
「はい」と答える。
「私、おとといの晩コンパでご一緒させていただいたK女子大の宮崎あいくです。美穂と雪絵のことでちょっと話があるのですが」
将年は裁判官のようなあいくの口調に唖然としてしばらく応答出来ないでいるのであった・・・第10回に続く


ブログランキング







| キャンパスライフ(第6回〜10回) | 01:05 | comments(2) | trackbacks(0) |
無料 カウンター消費者金融.orgキャッシング・ローン
にほんブログ村 小説ポエムブログへ

モバイル小説ブログランキング